• テキストサイズ

境界の先

第3章 話す


「サキちゃん」

ほんの少しウトウトしてたらしい。

彼の声で覚醒する。

私は顔を上げて、ゆっくり彼のほうを向く。

「逢坂くん、私の名前知ってたんだ」

「知ってるよ」

覚めたばかりのぼんやりした頭で彼の顔を眺める。

かっこいい…ふふ…。

「朝まで一緒にいたいって君の気持ちはわかったよ。今夜は君に付き合う。僕は逃げ出したりしないから、この拘束を解いてくれないか?」

彼が私にお願いする。
気持ちいい。

「嫌だ」

私は答える。

「どうして? 僕が信用出来ないのか?」

「別にそういうわけじゃない。単に逢坂くんの自由を私のものにしていたいだけ」

「ふぅん」

納得したように彼は頷く。
そして話を続ける。

「それでさ、君はどうしたいの? 縛った僕を一晩ベッドに転がしたいだけ? 君がそれがいいなら仕方ないけど…僕は退屈だ。何か話でもしないか?」

「うん、いいね」

私は頷く。

/ 98ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp