第2章 覚める
私は立ち上がり、学習机の椅子に座る。
そしてクルッとベッドのほうに向ける。
「逢坂くんと一晩過ごしたかった…」
私は打ち明ける。
「だからってこんな乱暴なこと…」
逢坂くんがため息をつき、目を伏せる。
「逢坂くんは思ったことない?」
「うん?」
私の問いかけに、彼が面倒そうに目をこちらに向ける。
「好きな人を手もとに置きたい…自分の部屋に閉じ込めたいって…」
私は再び立ち上がり、ベッドに近寄る。
彼の顔を覗き込む。
「茜ちゃんをさ…自分の部屋に連れ込んで閉じ込めたいって」
彼の目を見つめる。
彼も私の目をじっと見つめる。
「あるよ」
彼が答える。
「だけど…頭の中で想像することと、実際に実行することは違う。君…こんなことをして、ただですむと思っているのかい?」
彼が真面目な顔で問いかける。
私の頬が、ふぅーっとゆるむ。
多分、笑った顔になってる。
私は答える。
「別にどうでもいい。私、明日死ぬから」