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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第4章 夢かうつつか?


「最後に、機械の誤作動の増加です」

言いながら、菊は心の底から困り果てた顔をした。

ハイテク国家と呼ばれる日本において、それは大きな痛手だろう。

「その前に、2000年問題をご存知ですか?」

「……恐怖の大魔王とかノストラダムスとかですか?」

「いえそうではなく……」

菊は言いよどみ、口をモゴモゴさせた。

どう説明しようか逡巡しているようだ。かわいい。

「グレゴリオ歴、つまり私たちが今使っている“太陽歴2000年”に、コンピューターがオーバーフローを起こす、という問題です」

「おーばーふろー?」

「コンピューターが、表現できる桁を越えることです」

……えーと……

「ものすごく簡単に言いますが、計算機で『99999999×99999999』とするとエラーになりますよね?」

頷く私。

「機械が表示できる桁をこえてしまってますから、Errorになります。数字の桁が多すぎて表示できずError表示になる、これがオーバーフローです」

「なるほど……」

「ゲーム風に言うと、数値のカウンターストップ――カンストです」

「なるほど!!」

わかりやすい例に感動を覚えた。さすが我らが本田さん。

「……と言っても、私自身もあまり理解できていないので、この例えが真に正しいかは保証しかねます。すみません」

申し訳なさそうに菊がつけ足した。なんだかこちらが申し訳なくなってしまう。

「それで、2000というのがオーバーフローを引き起こし、コンピューターが2000年を1900年と間違えるそうです」

つまり、2000年になった瞬間、2000をErrorと表示するかわりに、1900と表示するってことかな?

「なので当時は電子機器が誤作動すると騒がれ、2000年のその瞬間に備えて、国家的な対策が講じられました」

「こっ国家的!?」

驚きに声をあげずにはいられなかった。

それって“ガチ”ということじゃないか!

「断水、停電、金融システムの機能停止、ミサイルの誤発射まで想定されました」

「みみみみさいるぅっ!!?」

飛び上がり腰を抜かしそうになる。我が耳を疑った。

それ本当に笑えないよ!! たしかお隣さん二人が核持ってましたよね!?

追憶に浸るように、菊のまなざしは遠くを見つめていた。

口元には“もはや笑うしかない”笑みが浮かんでいる。
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