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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第36章 --.信号:符号間干渉


拳はかたく握りしめられ、瞳には氷点下の憤怒が張りついている。

ギルベルトの立っている場所からは、ある部屋の窓が見下ろせる。

その部屋の窓には、ギルベルトのよく知る人物の背中が映っていた。

――その窓の奥、今は“眠っている”彼の腕も。

物言わぬ背中と腕に、静かな怒りがギルベルトの脳内を侵攻していく。

「――お前の本当の目的は、なんなんだ」

捻り出された声はかすれていた。

イオンは薄く笑みを浮かべ、地平線に目を向ける。

さも愉快そうな色彩が、その目に宿っていた。

「もうそろそろ最後だもんね、気づいちゃうかな?

……でも、余計だな。
君が第一にやるべきことはなにか考えて」

「……っ!」

にっこりと笑んだイオンに、ギルベルトは言葉を詰まらせた。

その脅迫が、ギルベルトにとってどんなに重いか、ほかでもない彼自身がよくわかっていた。

沈黙するギルベルトから視線を外し、イオンは眼下に広がる街並みを見下ろす。

あくびが出るほど平和な景色は、まもなく夜に包まれようとしていた。



「“本当になにが起きているのか”なんて、誰も知らないんだから」





to be continued.
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