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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第38章 ゼロ地点の結界より


そんな中で、自分たちだけが、こんな環境に置かれている。

本当に気味が悪い。

外に出ていろいろ調べるべきなのだろうが、そんな気は起こりそうになかった。

窓をしめ、意味があるのか疑問だが、鍵をかける。

カーテンを引いて街並みを見えなくし、ソファにごろんと寝っころがった。

なにか使えるかもしれない、と別の部屋から持ってきた数冊の本をひらいてみる。

暗号方式についての書物らしいが、理解するには二度三度と、同じ文章を読みなおす必要があった。

秘匿通信のための暗号は、現代ではおもに、「公開鍵暗号」と「秘密鍵暗号」とやらがあるらしい。

今読んでいる本は、「量子暗号」について中心的に書かれている。

説明文には、“アリス”と“ボブ”が頻繁に登場していた。

「当事者Aが当事者Bに情報を送信する」

という文章ではわかりづらくなるため、“アリス”のような具体的名前を使うようだ。

ふと、ヨンスの言葉を思い出す。

「ヨンス」

呼びかけるが、返事はない。

夢中になってキーボードをたたいている。

やれやれと、香は手元のクッションを投げつけた。

「おわっ!?」

見事後頭部にヒット。

驚いたヨンスがふりかえる。

「な、なんなんだぜ~?」

「“イブ”ってWho?」

クッションを拾いながら、ヨンスはきょとんとした。

それから香の手にある本を見て、あぁ、と説明を始める。
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