第38章 ゼロ地点の結界より
「“イブ”っていうのはいわゆる盗聴者を表すキャラクターで、“受動的な攻撃者”ってことは知ってるんだぜ?」
「well……メッセージを盗み聞きはするけど、改ざんはしない、的な」
「そうそう。んで その“イブ”がいたっぽいんだぜ」
、、、、、
「それは……何者かに見られてたってこと?」
ヨンスが頷く。
その目は、いくらか鋭いものになっていた。
「俺たちのしていることや、持っている情報がもれた、そう考えるべきなんだぜ」
「イヴァンのところとか?」
香たちは、ロシアのデータベースに侵入したことがあった。
今解析しているパスワードは、どこの国のものかはわからない。
だが、O・N・ネウや、異変と極めて密接なかかわりを持つらしい。
また、とにかく規模がすさまじく巨大であることがわかっている。
、、、、、
「それもあると思うけど、俺たちがこうなっているのは、たぶんイヴァンは関係ないと思うんだぜ」
「Why」
侵入に気づいたイヴァンがあの電話をよこし、香たちをここへ連れてきた――そう考えても不自然でない。
ヨンスは顎に手をあてて思案顔だ。
「おかしいと思わないんだぜ? なんでここに“こんなPC”があるのか」