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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第39章 錯綜と進む針と


「おかしなこと考えてんじゃねぇだろうな。これは“全員の問題”だ!」

なにかと思えば、スコーンだった。

アーサーにスコーンをぶちこまれていた。

真面目そのものの表情でぐりぐりと押し込まれ、苦しさに奇声がもれる。

「お前一人が頑張ったって効率わりーんだよばか!」

「んごっ、ふごっ」

「っつーか会議だ協力だはお前のお得意だろうが! しっかりしろばかぁっ!!」

「ふがっ、もごっ」

不本意ながら慣れ親しんだ味。

全身にふりかかる罵声。



――ほんの少しだけ、体の緊張がほどけていくような、そんな感覚を覚えた。



それが逆に、無意識にどれだけ気を張っているのかを、アルフレッドに知らせていた。

「会議もあるし、とっ、特別に作ってきてやったんだからな! シャキっとしろよ! 俺は先に行くからな!」

いつものように、怒りまじりに赤い顔でそう言って、アーサーは身を翻す。

その歩みが、ふと止まる。

自分が彼の腕を掴んだせいだと、アルフレッドは遅れて理解した。




どうやら俺は、思っている以上に弱気になっているらしい。

「アル……?」

「おいていかれるのは、もう嫌なんだ」
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