第2章 どうやら捨てられたようです
ニ「(景色も山の形もニビが知ってるのとは違う…きっと遠い所なんだ)」
こんな状況でもニビは取り乱したり、悲観にはならなかった。普通ならば絶望して自殺を図るものや必死に町に出ようとするかもしれない。
しかし、ニビはどちらもしなかった
ニ「…これからどうしよう。きっと帰ってもおばさま達のご迷惑になる…随分汚れちゃったなぁ。近くに池とか無いのかな…」
『お〜〜い』
汚れた両手を眺めていると後ろから掠れたか細い声が聞こえた。振り返ると膝の高さまで伸びた草木の間に一人のお爺さんがこちらを見て立っていた。
木の杖にすげ笠に藁でできた蓑(ミノ)…どう見ても今の時代には見ないものだ。
ニビには分かっていた。このお爺さんは普通とは違う、この世の人ではないと…