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君に手向ける(銀魂:銀時夢)

第1章 君に手向ける


*****


「おい、何やってんだ。早く始めろよ。」

「……坂田さん!」

もう誰もいなくなったと思っていたが、小夜は横から声をかけられる。声を掛けた彼に気付けば、小夜は失いかけた笑顔を再び浮かべた。

その男、万事屋の坂田銀時は小夜の常連の一人である。いつからかはもう忘れたが、銀時は長いこと小夜の紙芝居を見に来ていた。初めて彼が訪れた時はもちろん驚いた。なにせ子供に交じって大の男が地面に体育座りをして話しを聞いているのだから。しかも表情はダラしなく、時々耳や鼻をほじくっているのだから、小夜の語りは聞いていないようにも見える。

けれど、銀時は一度も話の途中で腰を上げた事はない。最初から最後まで座って聞いているし、子供達がお菓子を手に去って行けば、彼もちゃっかりと駄菓子をねだる。甘いものが好きな彼が駄菓子目的で来ているのかと思うと少し笑ってしまうが、そんな可愛い一面を持つ男に小夜は心を開いていた。

普通ならば大の男がニートの如く毎日公園に訪れれば不審に思うが、困り事があった時は助けてくれた事もあるし、銀時が頼りになる男だというのは知っている。交流を繰り返すうち、小夜は銀時に会うのが楽しみになっていた。子供達が小夜から離れた後は尚更だ。

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