第4章 幼馴染からのお願い
理「へえー、それで影山くんに勉強教えてるんだ」
影山くんイケメンだよねぇ、あたしが教えてあげてもいいのにな。
とか理沙が言うので
『因数分解からわかってない』
理「あ、ちょっとそれは勘弁」
うん、そうなるよね。
お昼休みのたわいもない会話。
私は飛雄のためにノートをまとめている。
理「なにそれ、MEGAFEPS?」
『そー、
mind
enjoy
give up
avoid
finish
escape
put off
stop
の頭文字』
理「クリームソーダもあるよね」
『consider
resist
escape
admit
miss
suggest
object to
deny
avoid
でしょ』
目的語に動名詞になるやつでしょ?
そーそー、常識。
私、全部は言えないかな。
覚えたほうがいいよ、文法とかに出てくる。
そんな可愛げのない話の途中、
日「シツレイシマース!」
と、馬鹿でかい声が聞こえた。
聞こえた方をみると、飛雄と日向翔陽くんがいる。
二人は、同じクラスの谷地仁花ちゃんのところに、ずんずん歩いていく。
小柄な可愛らしい女の子だ。
理「あれ、仁花ちゃんに用事かな」
『めっずらしいね』
自販機で買っていたいちごオレを、思いっきり吸う。
ズゴゴ、とか言わせながらいちごオレを飲み干す。
理「どういうつながりだろ」
『…女マネとかじゃない?マネは少ないみたいだし』
理「ふーん…」
瑠維はさ、
理沙の言いかけた言葉に、顔を上げる。
理「マネしないの?」
『んー』
理「この学校、女バス強いみたいだけど、瑠維入りそうにないしさ、でもスポーツに関わってたいのはあるんでしょ?」
ぎくり、とした。
自分でも気付かなかった、いや、気づかないふりをしていた心の中を当てられて。
『ちょっとだけ、考えてる』
理「いいと思うよ。私は嫌だけど」
『なにそれ』
だって汗臭そう。
それ言ったら何もできないでしょ。
そのまま、この話は流れていった。
でも、私の中では
何度も何度も
頭の中で流れていた。
理沙の、スポーツに関わっていたい
という言葉が。