第4章 幼馴染からのお願い
及「瑠維ちゃん、さすがに危ないで・・・」
言葉を紡ごうとした及川先輩の唇を、むにっとつまむ。
薄い唇、スッと通った鼻筋、大きな目。
『ちゅー、してください』
元々大きな目が、さらに大きく見開かれた。
及「瑠維ちゃんの家の近所だけど、大丈夫なの?」
ほら、ご近所の目とかあるでしょ?この前お宅の娘さんが彼氏とー、とかなったら嫌じゃないの?
『嫌ならいいです』
ふい、と私は及川先輩から離れると、家の方向に体を向ける。
そして、歩きだそうとしたが
腕を思いっきり引かれて、そのまま先輩の胸に倒れこんだ。
なにするんですか!と怒ろうと、振りかえろうとすると、顎をすくわれ、半強制的に顔だけを後ろに向けさせられる。
そのまま、先輩の薄い唇が、私のそれと重なった。
一度離れ、そしてもう一度角度を変えて重ねる。
閉じていた私の唇を、先輩の舌がそっと撫でる。
その感触に身震いして、体全体に力が入った。
でも、そのキスは、先輩の舌が私の中に入ってくる前に終わった。
及「これ以上すると、止まんなくなりそうでやばい」
確かに誘ったのは私だけど、それを実行したのは先輩で。
そんな先輩が真っ赤になっていて
『かわいい』
及「もー、やめてよ。俺はかっこよくありたいの」
照れながらそんなこと言っても説得力無いなぁ。
なんて思いながら、私は先輩の手を握る。
『今日、楽しかったです』
また、と笑顔で先輩の手を離そうとしたが、先輩がそれを許してくれず、
及「今度は、もっと長いのしてあげる」
と耳打ちして、おでこにキス。
次に真っ赤になるのは、私の番だった。