第3章 高校生活
なのに、なんで…
及「瑠維ちゃん!?」
聞こえてんのよ、この犬っころは。
及「え、まって。岩ちゃん!おれ、髪の毛変じゃない?変じゃない?」
岩「おー、藤間。久しぶりだな」
及「岩ちゃん、なんで普通に瑠維ちゃんと喋ってるの!?」
岩泉先輩に軽く手を振られ、私も振り返す。
及川先輩、試合前なのに元気だなぁ。
及「瑠維ちゃん、昨日試合来てくれないから…。俺、もう来てくれないのかと…」
『先輩、私の目当ては及川先輩じゃないので。烏野応援しに来てるんで』
ああ、聞こえてない。
まったく聞こえてないよこの先輩。
及「もっと早く来てくれてたら…」
『すいませんねぇ、朝弱いんで』
及「うぅ…。じゃあ、ウォームアップいってきます」
『怪我しないように気を付けてくださいねー』
嵐のように過ぎ去ってしまった先輩に理沙は失神寸前。
中「あんな笑顔の先輩初めて見た…」
『犬みたいでしょ?』
中「すっごいかわいかった…」
ああ、目がハート…
『はいはい行きまっせ―』
中「もう烏野なんてどうだっていい…」
『よくない!!飛雄が出る!』
理沙をずるずると引きずりながら、烏野側の応援席につく。
中「瑠維は、バレーしたことある?」
『ない。及川先輩にサーブ教えてもらうときと、体育以外ではない』
中「及川先輩…」
『きけ』
及川先輩が絡むと、理沙は弱い。
いつもの毒舌が浄化され、恋する乙女だ。
あ、飛雄気付いた。
影「よぉ」
『おいーっす。来てあげましたよ、飛雄ちゃん』
影「やめろ、及川さんみたいで腹立つ」
『だいじょーぶ、今日は烏野の応援だから』
よゆーのVサインをすると、きもいと一蹴される。
『勝ちんしゃいよー』
影「ったりめーだ」
『おうおう、飛雄ちゃんも立派になったねー』
無表情で何考えてるかぜんっぜんわかんないけど。
バレーが誰よりも好きで、上手くなる事に貪欲なのは
痛いほど分かる。
でもね、飛雄
それは、先輩も同じだよ?