第3章 高校生活
そして6月3日
全国高等学校総合体育大会
バレーボール競技
宮城県予選
2日目
『やぁぁぁってきました、インターハイバレーボール競技男子宮城県予選試合会場のぉぉぉぉ!!!!仙台市体育館!!!!』
中「あんた息継ぎなしでよく言えたね」
『酸欠にぃ…なる、か…とぉ…おもっ、げほっ…た』
本当は1日目から来たかったのだが、及川先輩と烏野が2日目からしか当たらないと言ったら
理沙がこないというので
渋々
2日目に…
つーか、負けたらどうしてくれてんだよ。
勝ったけどね!!烏野勝ったけどね!!
中「ねぇ、瑠維。この制服変じゃない?」
『あー、変じゃない変じゃない。ぜんっぜん変じゃない。いつもどーりかわいいよー』
中「あんたなめてんの?」
いつもと違い、理沙は髪の毛を巻いている。
私はいたっていつも通り。
別に、変える必要ないし、見つかったらあとあとダルイ。
観客席に上がると、公式ウォームアップ直前と言ったところだった。
一気に理沙が緊張するのがわかる。
『理沙、理沙』
中「な、なによ」
『先輩に声かけに行く?』
え、と顔が引きつったが
行こうと手を取ると、顔が赤くなるのがわかった。
あのさぁ、一応私の彼氏なんだけどね。
そこらへんわかってよね、うん。
青葉城西の選手が真下に見える応援席。
その、ちょうど及川先輩の真上に立つ。
『ほら、り…「きゃぁぁぁぁ!!おいかわせんぱぁい!」
さ…「がんばってぇぇぇぇぇぇ!!」
…「かっこいいぁぁぁぁぁぁ!!」』
周りがうるさい。
『理沙、混じってきたら?』
中「い、いや!!」
『じゃー、声かけろ』
中「むり」
『なんでよ!?』
いつも強気で毒舌で、チビで不真面目なこの肝の据わった理沙が、なんでこんなに
しおらしいのよ。
気持ち悪い。
中「お、」
『お?』
中「及川先輩がんばって!!」
おお、言えた言えた。
きっと届いていないだろうが。
『もっと大きな声で!!』
中「む、むりぃぃぃ!!」
いや、さっきより大きな声出てるからね?
無理じゃないでしょ。
『まったく…』
中「瑠維…」
『及川せんぱーい』
さっきの理沙よりも全然小さな声。