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ありがとうと言えるまで(ハイキュー)

第2章 出会い



及「やっほー、瑠維ちゃん。高校生になった及川先輩だよー」

いつもみたいに間の抜けた声。
及川先輩は一度ドアノブをまわそうとしたが、鍵がかかっているため回るはずもない。

及「瑠維ちゃーん、鍵開けて?」

少しだけ咎めるような声音へと変わったが、そのまま私は気配を消したようにベッドにもぐりこんだ。

しばらく、呼びかけるような声かけがあったが、全部無視。

だが、私は先輩のある一言でベッドから飛び上がる。

及「瑠維ちゃん、俺さ、高校入ってから体格良くなったんだよね」
『…』
及「だからさ、瑠維ちゃん。このドア蹴り破ってもいいんだよ?」

びっくりするほど低い声に、私の身体は跳ねあがった。
いつもとは違う

怒っているのだろうか。

及「瑠維ちゃーん?」

ここで動かないと、このドアの天命は終わってしまう。
可哀そうだな、おい。

私は、ドアの前まで行くと、かちゃりと音を立てて鍵を開けた。


少し躊躇いがちに開いたドアから覗く顔は、昔と変わらない及川先輩で

でも、変わっていないのは表情だけ。

体格はずいぶん変わった。

肩幅も広くなって、なんだか男くさくなった。


及「久しぶり」
『…お久しぶりです』
及「なんかやつれたねー、ご飯食べてるの?」

入っていい?と聞かれ、どうぞと通す。

及川先輩は、私の家に来た事はあるけれど、

私の部屋に入るのは初めてだ。

及「暗いねー、電気点けようか」

ドアの横にあったスイッチを入れると、一気に部屋に明かりが灯る。
なんだか、及川先輩遠い存在になったような気がする。
元々日の下に居た先輩。私も最近まではそこに居たはず。

なにがどうなって、こんなことになったんだろうか。

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