第2章 出会い
あれから、先生が来て飛雄が来て
お母さんにもお父さんにも怒鳴られて
お兄ちゃんも来てくれた。
でも、何も言わなかった。
ただ、唇をかみしめて、下を向いて
涙がこぼれるのを必死で我慢した。
学校に行けばバスケがしたくなる。
でも、その欲求と戦える自信がなくて。
いつも通り、薄暗い部屋で一人音楽を聴く。
全ての音を断ち切って、自分だけの世界に居る。
でも、頭の中に響いているのは、バスケの音。
靴が体育館にこすれる音、ボールが跳ねる音、シュートが入った後のネットの音。
全部大好き。
胸が痛くなる。
いっそ消えてしまおうか。
先輩も何もない世界で
自由にバスケがしたい。
楽になりたい。
でも、私にはそんな勇気ないんだ。
これが間違っている事だと分かっていたけれど、
自分の感情をコントロールできないまま
何日も何日も日にちが経って行った。
そんなある日、私の部屋を訪ねてきたのは
他でもない
及川先輩だった。