第2章 突然のチョコ夢
「ところで及川には何もやんねぇの?」
スイーツに色めき立ってテンション上がってる花巻を愛でるように眺めながら視界の端でマナーモードしてる及川が気になってしまったらしい松川。早く帰りたいのかな←
『いや、今騒がれたら確実に収拾つかなくなるでしょ?家着いてから落ち着いて渡そうと思って』
嘘はついてない。
「それなんか及川さんだけ特別なもの用意してる言い方に聞こえますね」
『えーそうでもないからワクテカされるのうざいな。及川、はいこれ』
「?!ありが………元華ちゃんホントに俺のこと好きなの?」
及川の手にあるのは包装も何もしてない買ったままの茶色い包み紙の某板チョコ。
『いや最初からそれ渡すつもりだったから。これなら黙らせる必要は…』
「元華ぢゃんやっばり俺のごどずぎじゃないんだだから恋人という最優先すべき及川さんを放置して他のメンバーに好物を与えるという最強のバレンタインするんだしかも俺にはなんの工夫どころか愛情0の板チョコだけとかうわああああああああああ!!!」
「…黙らせる必要?」
『…あるね』
我慢させてたのもあって堰を切ったように騒ぐ及川。
ここは仕方ないので、
『及川』
「なーに俺のこと好きじゃない桐野さんん?!」
座って拗ねてる及川の後ろにいって頭を抱き込んで耳元で囁いてやる。窓の方を向いてたから私たちの背中側に皆が居る状態。ついでに外が暗いから窓は鏡。ガラス越しに目を合わせてやって、
『…それはフェイク。家に着くまで我慢できたらホンモノあげる…静かにできるね?』
「………ひゃい……///」
ちょろい←
…………。
なんで振り向いた先の皆まで顔赤くして静かになってんの?