第3章 ハイキュー 烏養繋心
「鳥養君。
そのご友人は、彼女にその思いを伝えたことはあるのでしょうか。
4年付き合ったって、高校生のころから知っていたって結局は他人です。
思いは言葉にして紡がないと相手の心には届きません、
きっとそのご友人は「こう思っているのだろう」「こうしたほうが彼女の為になるだろう」と勝手に決めつけて動いたのではないでしょうか。
彼女もきっと同じです。
ご友人と同じように勝手に相手の立場に立ち、思いやり、遠慮してしまった。
お互いが思いやりというベールに包まれたままの気持ちを相手に伝えることなく過ごしてしまった。
だからすれ違ってしまった。
まだ間に合うと思いますよ。
今度はそのベールを解き放ち、きちんと言葉として紡いで伝えていけばいいんです。
どんな些細なことでもいい。
伝えることから始まるのですよ」
ガタッ
繋心は勢いよく立ち上がると 車のカギを持った。
「先生!あんがと!吹っ切れたわ。
行ってきますっ!」
「あっ鳥養君!店のカギ!!」
#$%**#$%
ビールを買って通いなれたはずのの家に行き、帰りを待った。
予想はしていたが、部屋は段ボールが積み重なり引っ越しが近いことを嫌でも見せつけられる。
俺に何も言わず引っ越しちまう予定だったのか・・・
合鍵を握りしめ、何時になるか分からない帰りを待つ。
電話を入れようかとも思ったが、直接待つことを選んだ。
もしほかの男と帰ってくるようなことがあれば、殴ってでも取り返す。
そんな覚悟ももう出来ていた。
そして、3本目のビールを飲み干そうかとしていたとき、
ガチャリ
鍵が開く音がした。
疲れていて繋心の靴にも気付かなかったのだろう。
疲れた顔をしたが一人で帰ってきた。