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短編集「めくるめく夜」

第3章 ハイキュー 烏養繋心


繋心は足元に落ちたバッグを見つめる。


まだ使っていてくれたのか・・・


繋心もまた、もうダメかもしれない。

そう思っていた。

バレー、バレー、バレー。
仕事中もバレーのことばかり考えていた。



もちろんの事を忘れたわけではない。
嫌いになった訳でもない。


ただ、バレーが楽しくてしょうがないのだ。

本当はそんな気持ちをと分かち合いたかった。

ただ自分はマメなタイプじゃない。
たった一行打つメール。
バレーの事が一行で済むわけがない。

だからと言って、普段からあまり電話をしなかったので、今更するのも気恥ずかしかった。

何度も通話ボタンを押そうと思ってはやめた。


から電話がかかってきたときだけ、話すようになった。


最後に会った時もまた、バレーの話ばかりしてしまった。

最初はノリノリで話を聞いてくれていただが、ふとした時にとても切ない表情をした。

本当に一瞬だったと思う。

普通の人だったら気付かない。
ただ4年一緒にいる、ずっとを見てきた繋心だからこそ気付いた変化。

その表情で察した。

は本当はコーチなどして欲しくないのではないか。
バレーの話など聞きたくないのではないか。
無理して笑わせてるんじゃないか。
俺に気を使って言わないだけではないか。

それ以来、の前でバレーの話は控えるようになった。
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