第3章 ハイキュー 烏養繋心
それから早4年。
周囲からは結婚の話も出ていたが当の本人たちは、まだ結婚の意思は無いようである。
は仕事にも慣れ、英会話やパン教室等の習い事にも精を出しているし、お酒が好きなこともあり、毎週国分町に繰り出しては飲み明かしている。
繋心は坂ノ下商店の店番はもちろん、高校卒業後もずっと続けているバレーボール。
町内会チームの練習にも励んでいた。
二人はお互いにそれぞれの時間を大切にしてきた。
週に1、2度会ってはご飯を食べ、の家に泊まる。
時には一緒にスポーツ観戦をしたり、映画に行ったり、デートもする。
そのような関係が心地よかった。
その関係が崩れたのは今年の春。
繋心が烏野高校のコーチを引き受けてからだ。
もともとマメに連絡するタイプではない繋心。
それでも会えない日は一日に一回はメールをしていた。
「滝ノ上がナンパしてふられた。
ラーメン奢ってかえっから も気を付けて帰れよ」
他愛もない内容だったが、は満足していた。
実はは結婚願望が全くないわけではなかった。
27歳。
田舎では立派な結婚適齢期だ。
親戚に会えば 結婚の話をされ、彼がいるのにも関わらず見合い話が持ち上がる。
友人や同期の結婚ラッシュもここ最近激しくなっていた。
マンションの更新も控え、実はひそかに一部屋多い部屋に、それでいて繋心の実家からも近い部屋に住み替えようかと思っていたのだ。
もう4年。
家族も公認の仲。
いつ繋心が転がり込んできてもいいように・・・
そんな時に突然 繋心から話が合った。
「烏野のコーチになろうと思う。
しばらく会えないかも知れない。
わりいな。
音駒の試合までだから」