第8章 それは、善悪逆転する。
ルーシィSide―――――
タウロスも、星霊界に戻っちゃって・・魔力がもうなくなっちゃった・・。・・・アタシは・・アリエスを解放出来ないのかな・・・。
ジェミニに殴られながら、そう思った時だった。
「いやぁぁぁあぁああっ!!」
悲鳴が響き渡り、突然シロの周りに霧が発生した。
ルーシィ「シロ・・・?」
エンジェル「・・・何?」
しばらくして霧が消えたと思ったら・・・。
ルーシィ「・・・綺麗・・。」
綺麗な長い白髪の女の人が、そこには立っていた。
「・・・。」
その女の人は、何も言わずにエンジェルの方へと歩いて行く。
エンジェル「な、何・・・!?誰なんだゾ!?」
「・・・。」
エンジェルの質問にも答える事なく歩いて行く。
エンジェル「っ!ジェミニ!!!カエルム!!」
ジェミニ「はい!!」
ジェミニはアタシに変身したまま、カエルムを女の人に発射した。
エンジェル「・・・無傷・・!?」
ヒビキ「・・・!この魔法・・・!!」
ルーシィ「・・・シロ?ねぇ、シロなの!?」
絶対防御。シロがウェンディにかけていた魔法と同じ魔法。・・・それに、シロの姿がない。
・・でも、どうしてシロが人間に・・・!?
エンジェル「・・・レンのネコ?なら・・ジェミニ!」
ジェミニ「ピーリピーリ!」
そう言って、ジェミニは、お兄ちゃんの姿に変身した。
エンジェル「これなら、飼い猫のお前には攻撃出来ないゾ。」
そう言ってニヒルに笑うエンジェル。
シロ「・・・天体魔法・・七星剣、グランシャリオ。」
だけど、シロはそんなの気にも留めずに魔法を放った。
ジェミニ「っ!?」
間一髪で直撃は免れたらしいジェミニ。けど、傷だらけで・・・星霊界に戻ってしまった。
エンジェル「なっ・・・!?」
シロ「・・・言ったハズだ。邪魔なら、戦うだけだって。」
いつもの声よりも低く、それでいて凛と響く声。それでも、やっぱりシロだった。
シロ「・・・僕には崇高な理念もなければ誇りもないけど、でも・・守らなきゃいけないものくらい分かる。」
エンジェル「っ!カエルム!!」
シロ「・・・いい?ルーシィ。今から使う魔法、覚えておくんだよ。」
そう言って、こっちに微笑むシロは、綺麗だった。