第5章 それは、大きな塔だった。
シロside―――――
ガジルがギルドに来た翌朝。ボクは珍しく早朝に起きたので寝ているレンを置いて散歩に出かけた。
シロ「・・・レン・・。」
レンは徐々に記憶を取り戻しつつある。最近は、ボクが傍から離れる事も増えた。ルーシィやハッピー達と一緒にいる方が多いかも・・・。
違和感が増えた。ハッピーというネコに会ってから。
同じネコで、喋って・・・翼を出して空を飛べる。二足歩行も出来る。一緒なのに。
シロ「・・・一緒だと、思えない・・。」
ボクは・・・。
ちょうど公園の上を通った時、音が聞こえた。降りて行ったら、レビィちゃんがいた。
シロ「レビィちゃん?」
レビィ「!シロ・・・!!」
レビィちゃんの目線の先にいたのはジェットとドロイと黄色い人と・・・ボロボロのガジル。
シロ「ガジル!!」
ガジル「!?シロ・・・!?」
ガジルに勢いよく飛びついた。けど、ガジルは抱きとめてくれた。
シロ「レンのとこ行こう、ケガ治してくれるから。」
「待てよ、ネコ。何処に連れて行くんだ?」
ジェット「ラ、ラクサス!!やめとけって・・・!」
・・・ラクサス、という名前くらいなら知ってる。教えてもらった。マスターの孫で、雷使う強い人。
シロ「・・・手当てに。」
ラクサス「・・・あぁ、そうだったな。お前も幽鬼の支配者にいたんだったな。」
レビィ「!シロ危ない!!」
ラクサスがこっちに向かって雷を放つ。
ガジル「シロ!どけ!!」
シロ「嫌だ。どかない!」
雷は、ボク達に当たらずに跳ね返った。
ラクサス「!ほぅ・・・。」
ガジル「!(この前も・・・。)」
シロ「・・・暴力は負の感情しか生み出さないんだよ。」
ラクサス「ネコのくせに随分な魔力だな。青いネコにはそんなのなかったと思うが?」
ジェット「ラクサス!もういい!!」
ラクサス「雑魚は黙ってろよ!!」
ラクサスの放った魔法がレビィちゃんに向かう。
シロ「白魔法、絶対防御。」
魔法がレビィちゃんに当たる事はなかった。
レビィ「・・・これ・・シロが・・・?」
シロ「ボクは“戦えない”からこれくらいしか出来ない。・・・じゃあまた後でね、レビィちゃん。」
ボクはガジルを引っ張ってレンの元に帰った。