第5章 それは、大きな塔だった。
そこからのナツくんは凄かった。エーテルナノを食べた時はどうしたのだろうとヒヤヒヤしたけど無事消化できたらしい。
ナツ「自分を解放しろ!!!ジェラールーーっ!!」
ドゴォォオオンッ!!ととてつもなく大きな音がした。
同時にとてつもなく嫌な予感がした。
シモン「楽園の塔が・・・!」
俺「ヤッベ・・・。」
エルザ「ナツっ!!」
シモン「!エルザ!!」
俺ともう一人の人、エルザとナツの間に大きなエーテルナノが降ってきて道をふさいでしまった。・・・これは合流は難しそうだな・・。
俺「あー・・・ったく。本当、君は凄いよ・・・ナツ君。」
不意に身体が浮く感覚がして上を見上げればもう一人の人。・・・あー、姫抱きされてんのか。
俺「・・・何で!?」
シモン「走る。捕まっていてくれ。」
俺「待って!ジェラールが・・・!!」
シモン「!しかし・・・!!」
俺「頼む。ジェラールも・・・!?」
いない・・・!?そんなバカな・・!!
シモン「・・・行こう。ここも危険だ。」
俺「・・・あぁ・・。」
シモン「・・・俺はシモンだ。」
俺「・・・レン・ディオグランツ。白いネコは俺の相棒。」
シモン「!そうだったのか・・・すまない。勝手に連れてきてしまって。」
俺「別に構わない。」
至るところから魔力が放出されている。このままだと脱出するまでに暴発して・・・全滅してしまう!!
俺「・・・シモン、そこの魔水晶の前で降ろしてくれ。」
シモン「・・・?わかった。」
そっと、ゆっくりと降ろしてくれた。
俺は迷う事なく魔力晶に手を突っ込んだ。
俺「・・・まだ受け入れる、か。」
シモン「!?何をやっている!?」
俺「この魔力を自分の物に出来るとは思ってもないけど誘導くらいは出来るだろうと踏んだ。先に出てエルザたちと合流してくれ。」
シモン「・・・断る。お前を一人になどしない。」
俺「・・・失敗、するかもしれないんだぞ。」
シモン「それも覚悟の上だ。お前に助けてもらった命だ。一度くらいお前に差し出してもいいだろう?」
シモンの目は、揺らがなかった。
俺「・・・全く。意思が強い人間が多いな。」
シモンの手を取り、俺は目を閉じる。
辺り一面が光で満ち溢れた。