第11章 それは、黒い空だった。
リヒトは自力で立ち上がった。
ルーシィ「その怪我じゃあ、いくら死なないって言っても無茶よ!」
ウェンディ「あ、あの・・・!私治します!!」
リヒト「・・・おや・・君も滅竜魔導士なんだね。」
ウェンディ「!私、天竜グランディーネに育てられたんです・・・!!だから、治癒魔法使えます!!」
リヒト「いや、いいよ。魔力は有限。残しておいた方がいい。」
ウェンディ「でも・・・!」
リヒト「しばらくすれば治る。・・グランディーネか。また懐かしい名を聞いた。(微笑」
キース「リヒト様、レン様はもう起きておられます。すでに部屋も出て移動なされています。」
リヒト「・・・だけど、もう僕には手がない・・。」
エルザ「・・・どういう事だ?モンドやスペラの言っている主とは、一体誰なんだ!!」
キース「エスポワール様も一緒におられるのですよ!?それでも貴方はそう仰るのですか!?」
リヒト「・・・!?」
ルーシィ「エ、エスポワール?様??」
リヒト「・・・あぁ。現王には一人娘がいてね。その娘の名前がエスポワールだ。」
エルザ「・・・ん?国王達は牢にいたハズだろう?」
キース「何処かに隠れていたらしく・・・レン様とグレイ様に接触したもようなのです。エスポワール様だけならともかく・・レン様が術式を解いて交戦態度だったので止める事は出来ませんでしたが・・・。」
リヒト「・・・丸めこまれた、という事か。大方、君たちの名前でも出されたのだろう・・。」
ナツ「・・・?どういう事だ??」
リヒト「全てが想定外でした。・・・いえ、相手の思惑通りに動いてしまった僕が愚かだった、という事でしょうね・・。」
エルザ「・・・?」
リヒト「あの者達の言う主とは・・・国王、ソーレ。」
ルーシィ「・・・え?」
リヒト「“本の続き”の通りに、僕たちをこの城へ閉じ込めておくつもりなのでしょうね。」
エルザ「!閉じ込める!?」
ルーシィ「本の続きって・・・あの、ルーナ王国でしか売られてなかった、あの絵本の事ですよね?凄いいい感じで終わってたと思うんですけど・・・!」
リヒト「・・・その絵本には、忘れ去られた・・いや、“消された”経過と、その続きがあるんだよ。」