第11章 それは、黒い空だった。
エルザ「・・・スペラ、というメイドだ。」
リヒト「・・スペラ?」
エルザ「シルビアに矢を放ち、連れ去った。」
リヒト「・・・は?」
シャルル「その女が、アンタのとこに行った仲間のとこへ急いだ方がいいって言ったのよ!」
リヒト「スペラが・・・シルビアを討った?バカな。」
ルーシィ「本当なの!!アタシを見て、しばらく鍵はお預かりしておりますよ。我が主が。・・って言ったの!主って、貴方の事じゃないとしたら一体誰なの!?」
リヒト「・・・!・・・そうか。そういう事だったのか・・だから、あの文献は・・・。」
エルザ「!リヒト!!」
パリィンと窓を突き破ってリヒトに突き刺さったのは、大きな大きな黒い鎌。
ナツ「・・・!リヒト!!」
リヒト「全て・・・ウソだったんだな・・モンド。」
モンド「申し訳ありません、リヒト様。」
モンドは、初老のような容姿から20代後半くらいの若者の容姿になった。
ウェンディ「幻覚!?」
シャルル「・・・アンタ、30年もこの城に勤めてないわね。」
モンド「えぇ。ちょうど、ルーシィ様が以前来られたくらいの頃に。」
リヒトに突き刺さった鎌を引き抜くモンド。
モンド「主がお待ちしております。・・・!」
モンドが突如リヒトから離れた。すると、その直後にモンドのいた辺りの地面に突き刺さるナイフ。
ナツがリヒトを抱え、エルザ達のいるところまで飛び下がった。
「その汚い手で我が主に触れないで頂きたい。」
モンド「・・・お前には結界が張ってあったはずだぞ、キース。」
キース「あんなもの、結界の内に入りませんね。」
モンド「チッ・・・まぁいい。どうせこの城には逃げ道はない。自分たちの首を絞めている事に気付いたってもう遅い。」
エルザ「・・・どういう事だ・・?」
モンド「シルビア王女はこちらの手に堕ちた。レン王子は予定通り・・・あとはリヒト王子、お前だけだ。」
キース「この城には無礼な者達しかいない、という事はよく分かりました。・・消えろ。」
いつの間にかキースは大量の剣を宙に浮かばせていた。
モンド「・・・また後で、迎えに来ますよ。リヒト王子?」
モンドはそう言って、窓から出て行ってしまった。
ナツ「おいリヒト!気失うなよ!!」
リヒト「ははっ・・・君はいい子だね。でも、私は死にはしないよ。」