第10章 それは、雨の日の事。
俺「ん・・・。」
グレイ「・・・起きたか、レン。」
俺「・・・あれ?グレイ??」
不思議そうに辺りをキョロキョロ見まわしているレン。
グレイ「・・・ここが何処だかわかるか?」
俺「えーっと・・ルーナ王国、だよな?」
グレイ「あぁ。王宮のリヒトって奴の部屋だ。」
俺「・・・あぁ。そういやそうだっけ。」
グレイ「・・・アイツの事分かるのか?」
俺「一応・・・。」
グレイ「じゃあ、リヒト達のやろうとしてる事って何なんだ?それに、少なくともお前らは100年以上生きてるのに何でそんなに若いんだ?」
俺「・・・そっか。だから小さい俺・・。」
グレイ「・・・?レン??」
俺「・・・初めてこの世界に生まれたのは、今から150年前だ。」
グレイ「ひゃ・・・150!?」
俺「・・・俺は、レン・ローゼンクロイツとしてこの世界に生まれた。王子として生まれて・・・更に、他の人よりも魔力が多かった。」
グレイ「・・・。」
俺「・・・三大魔導士の話、知ってるか?」
グレイ「それって・・・天変地異でさえも抑える事が出来て、敵に回せば生きて行く事も出来なかったなんて伝説の残る三大魔導士の事か?・・・もしや・・。」
俺「あぁ。俺とシルビアともう一人だ。」
グレイ「だと思ったぜ。・・・ん?リヒトじゃないのか?」
俺「リヒトは基本的に表には出なくなったからな・・。」
グレイ「・・・つまり、その話も関係はあんのか?」
俺「・・・小さい頃から魔力が膨大でな。幼い俺は城の外に出た事どころか・・・自分の部屋からもまともに出た事がなかった。」
グレイ「・・・それって、監禁って事か?」
俺「まぁそんな感じだ。でもシロとリヒトは部屋によく遊びに来ていたから、特に何とも思っていなかった。・・・だけど、成長するにつれて更に膨大にある魔力に、父親が動揺してね。俺の存在を最初から街の人達にはなかった事にしようとしたらしい。」
グレイ「・・・は?自分の子供だろ・・?何で!?」
俺「詳しくは知らない。・・でも、どこからか情報が漏れて、町人達は俺の事を知った。知った町人の一人がこう言ったらしい。“そんなに魔力があるのなら、我らの長年の願いが叶うかもしれない”と。」
グレイ「・・・長年の願い?」
俺「・・・永遠の命さ。」