第10章 それは、雨の日の事。
グレイSide―――――――
グレイ「・・・ん・・。」
目を覚ましてみると目の前でレンが寝ていた。
グレイ「・・・レン!?」
リヒト「大声を出さないでほしいな。レンが起きてしまうだろう?」
グレイ「・・・テメェ・・どういうつもりだ?」
俺はリヒトからレンを隠すようにリヒトの方を見る。
リヒト「何が?」
グレイ「俺を連れてきた事だよ。」
リヒト「・・・あぁ。僕が君の事を気に入ったからだよ。・・・それに、レンだって君がいれば少しは冷静になれるだろう。」
・・・レンが冷静になれる?
グレイ「・・・どういう事だよ。」
リヒト「知らなかったのかぃ?レンには記憶がないんだよ。」
グレイ「は・・・?」
リヒト「正確に言えば・・・記憶を“消した”・・かな?(ニコッ」
笑ってそう言うリヒトは、正直言って怖かった。
グレイ「な・・・んで・・。」
リヒト「記憶があると辛い事しか思い出せないからね。あえて消させてもらったよ。」
グレイ「でも・・・レンはそんな様子1つも・・!!」
リヒト「そう。その人に触れば最低限の自分の持っていた情報は獲得出来る。だから困る事はない。」
グレイ「・・・。」
リヒト「・・・どうしたんだぃ?」
グレイ「・・俺には、お前を理解出来そうにない。」
リヒト「・・・そう。それでいいんだよ。だから君をここへ連れてきた。」
グレイ「?」
・・どういう事だ?
リヒト「それじゃあ、僕はちょっと出かけてくるけど部屋から出ないでね。・・・って言っても、そのベッドには術式をかけてあるから出れないんだけど。」
グレイ「なっ・・・!」
リヒト「ベッドから出ようとしなければ、痛い思いなんてしないから。」
そう言って部屋から静かに出て行ったリヒト。
レン「すー・・・すー・・・。」
グレイ「・・・ったく。こんな状況で呑気に寝てやがる・・。」