第2章 エルド 続編 誕生会編
誰かに取られるとかそういう気持ちではないが、自分が会いたくても会えずもんもんとしているのに他の誰かが、彼女に会うことが許せない。
子供染みたやきもちだと思う。
彼女の事を考えているといつの間にか隣にペトラがいた。
俺の顔を見ながらニヤニヤ笑っている。
「エルドさん。この前の彼女のこと考えてたんですか?」
「ペトラにまでばれるなんて俺も落ちたな」
思わず自嘲の笑みがもれる。
どうやら彼女の事を考えていると、いつもの俺ではいられないようだ。
こんなのは初めてだ。
いつも適当な女の子を見繕って 適当に姫扱いして付き合ってきた。
リヴァイ班に選ばれてからはなかなか遊ぶ時間も作れず、去る者は追わず、一人の女の子に執着することなく過ごしてきた。
まさか、俺がこんなにも彼女を好きになるなんて。
一目惚れだったんだと思う。
はたきを探してふらっと入った日用品店。
目当ての物らしきはたきを見つけたものの 正直俺には普通のはたきに見えて、エレンの言っていた物なのかどうか判断できずにいた。
そんな時に話しかけてきたのが彼女だった。
今考えると仕事なのだから当然だろう。
ただ、彼女の自然な笑顔にただただ目を奪われた。
特別美人な人ではないと思う。
どこにでもいそうな女の子だった。
腰まである長いストレートの髪。
耳の上には可愛らしい自由の翼のピンが輝いていた。
それが彼女の純粋なイメージにぴったりで・・・
後で聞いた話であれは自由の翼ではなく、天使の羽だったと言われたが、そんなのはもうどっちでもいい。
俺は自由の翼を背負い 未来を掴みに行く。
彼女は天使の羽が幸せを運んできてくれるのを待つ。
それでいいじゃないか。
二人で一つ。
二人で夢をかなえるのだから。
彼女の事を考えていたら、いつの間にか俺たちの番が回ってきていた。
グンタが掛け声をかける。
「せーの・・・」
「「「兵長!Happy birhday!!!!!」」」
いつも一緒にいる俺たちからのプレゼント。
いつもより頬が緩んでいるように見える。
兵長が包み紙を開けている間、エレンの目がキラキラ輝いているのがみえた。
確かに兵長がどんな顔をするか 今回は俺も楽しみだな。