第14章 第十四話
「…そう、永四郎君と別れたって話は聞いていたけど、そんなことになっていたのね…あの子、学校でそんな目にあってるなんて一言も言ってなかったのに…」
「すみません、俺のせいで…」
「永四郎君のせいではないわよ…。悪いのはその女の子達よ……あのSNSもその子達のうちの誰かが、ってことなのかしら」
「はっきりとは分かりませんが…その可能性は高いと思います」
「…この画像、私にも送ってくれる?知念君。警察の人に伝えたいから…」
「はい、分かりました」
はぁと力なくため息をつく如月の母の背中を木手は優しくさすった。
目の下にできたクマに母親の疲れが見て取れた。
自分達以上に娘に起きた出来事に胸を痛めているであろう母親の姿に、知念も木手も胸が痛んだ。
「今日、病院に来てくれたの、貴方達だったのね。…ありがとう、二人とも。意識が戻ったら、連絡を入れるから…会いに来てやってくれる?」
「はい、必ず」
力強くそう返事をすると、如月の母は涙を浮かべて少しだけ微笑んだ。
知念と木手が固辞したにも関わらず、如月の母は支払いに十分な金額をテーブルに置いてまた病院へと戻って行った。