第2章 第二話
知念の家までの道中、如月は知念と木手に挟まれた形で歩いていたが、もっぱら話しかけるのは知念にだった。
(猫好きなんだなぁ…)
彼女が自分に話しかけるのは、自分というよりダンボールの中にいる仔猫という存在が大きいことに知念は気づいていた。
それを面白くなさそうに横目で黙って見ている木手も不憫だったが、今、彼女の中で一番なのは仔猫に間違いなかった。
「猫アレルギーってキツイんだばー?」
「その時の体調によるかなぁ。大体くしゃみとか目が痒くなったりする。…たまに喘息みたくなる時もあるけど」
「そりゃあ家では飼えないやぁ」
如月と知念の会話は猫にまつわることばかり。
たまにそこに木手が口をはさむのだが、如月は木手に対して相槌もそこそこに、また知念に話を振るのだった。
意外と彼氏をぞんざいに扱う如月の姿に驚きながらも、そんな如月に強く出ることができない木手を見て面白い物を見た、と知念は内心思った。