第7章 第七話
早乙女は木手のそんな態度に腹を立てたが、用事を押し付けて早く帰りたいのだろう、荷物を木手に渡すとさっさと立ち去ってしまった。
「あー…永四郎、ご愁傷さま…」
平古場の言葉に木手がキッと睨むと、まぶやーまぶやーとつぶやいて着替えたジャージを乱雑にバッグに突っ込んだ。
部員達はバタバタと荷物を持って我先にと部室を後にする。
木手の手伝いをしてやろうという殊勝な心がけの者は、今日はいないようだった。
脅し文句の一つでも言って、用事を押し付けるのは木手にとって容易いことではあったが、今日の部活がきつくなった原因に自分が絡んでいることもあって、そうすることに若干抵抗があった。
仕方がないので木手は大人しく、早乙女に押し付けられた用事を済ませることにした。
さっさと済ませて、如月に早く会いに行きたい。
木手の頭の中はそんな思いでいっぱいだった。