第18章 第十八話
それを見つめる知念も七海と同じように、ひどく悲しい顔で静かに涙を流していた。
知念の頬をゆっくりと伝う涙に、七海の胸は苦しくなり、自身の涙をぬぐうことも忘れて、ぎゅうっと知念を抱きしめていた。
いつもなら手の届かない知念の頭は今は七海の腕の中にすっぽり収まっていて、存外その小ささに七海は驚いた。
2m近い大きな体の彼が、今はこんなにも小さく感じる。
毎月メールを送っては返って来ないメールに肩を落として、その度に傷ついていた知念。
七海は今、はっきりと、彼を傍で守ってあげたい、支えてあげたいと思っていた。
知念を抱きしめる腕に力をこめる。
されるがままだった知念が、ゆっくりと七海の背に手を回して、彼もまた七海を抱きしめた。
似たような傷を負った二人は、お互いに慰め合う道を選んだのだった。