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純情エゴイスト(比嘉/知念夢)

第18章 第十八話


時が経ち、高校に入学した知念達はまたテニス部に入部し、中学時代に成し遂げられなかった「全国制覇」を掲げ熱い3年間を送ることになった。
中学時代に出会ったライバル達と再び対峙する頃には、ただ一人知念を除いて部員達それぞれに彼女ができ、部活に恋愛にと青春を謳歌していた。

毎月恒例となったメールに、時には写真を添えて知念は如月に送った。
彼女の食いつきそうな話題を送ってみても、甲斐達のふざけたプリクラの画像を送ってみても、大好きな猫の画像を送ってみても、何をしてもやはり返事はなかった。

新着メールが表示される度に知念の胸は高鳴り、それが如月のものでないと知って落胆するのを、知念は毎日のように繰り返していた。
時に、そんな日々に疲れることもあった。
いつまでも待つ、と心に決めたとは言え、毎日顔を合わせる仲間達が楽しそうに休み時間に彼女と話をしていたり、休みの日に出かけていたりするのを聞くと、たまに知念の心がぐらりと揺れるのだった。
手を伸ばしたところで届くかどうかも分からない彼女を待つより、知念の身近にいる人間に気持ちを傾けた方が楽には違いなかった。

知念の方から手を伸ばせば、相手も知念の手を掴んでくれそうな雰囲気の人間が、実は知念のすぐそばにいた。
あの木手でさえ、もう新しい恋に踏み出しているのだ。
今自分が如月を諦めてしまっても、誰も文句は言わないだろう。

すでに高校に入学してから三度目の春がやってこようとしている時だった。
如月が知念の元からいなくなってから2年半の月日が経とうとしていた。


中学時代と違って、文系理系に別れたクラスは2年次の持ち上がりのまま、3年に進級した。
すでに1年間同じクラスで過ごしてきた気心の知れた仲間達と軽く挨拶を交わし、席につく。
さすがに担任は2年次のまま持ち上がりのままとはいかず、新しい教師が担任として教壇に立ち挨拶をした。

クラスの顔ぶれは変わらないが、新学期特有の新しい何かが始まりそうな予感と期待に、知念は少しだけ心を躍らせていた。
それは知念の隣の席に座っている七海も同じだったようで、HRが終わるとどこか浮ついた様子で知念に話しかけてきた。

「ねぇ、寛君は進路どうするの?」
「俺は、語学系の専門学校に進むつもりさぁ。やーはどうするんば?」
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