第17章 第十七話
いつも平古場のおばぁが、彼に肩たたきをしてもらいながら話してくれる話の中に、『言霊』にまつわる話があった。
『言葉』にはどんなものにも『力』が宿るもので、叶えたい願いは口にすると良い、と。
逆に悪い言葉を口にしてしまえば、それも現実のものになるから、気をつけるんだよ、と常々おばぁは小さいころから平古場に言い聞かせていた。
いつか、きっと知念の想いは実を結んで、また笑顔の如月に会えるはずだ。
あの事件の記憶が吹き飛んでしまうほど幸せに包まれた人生を二人が送れるように。
そう願いをこめて、平古場は知念に、ニッと笑って見せたのだった。