第4章 【東峰 旭】義理チョコ、へなちょこ、本命チョコ
「旭ぃ~、罰ゲーム楽しみにしてるかんなっ!」
数日後、廊下でバレー部の三人が話し込んでいる所を見かけた。
菅原がニヤッと笑いながら東峰の肩を叩くと、東峰はへへと笑って見せていた。
「えっ!?何、その余裕!誰かもらえる予定あんの?えっ!?」
「どっ、どうだろう。分かんないけど・・」
「へなちょこのくせに生意気だな」
二人からからかわれながらも、ニコニコしている東峰。
パチンと私と目が合った瞬間、へらっと笑う顔を見て私は吹き出してしまう。
情けでもらうチョコがそんなに嬉しいのか。
すごく軽い気持ちであげようか?なんて言ったけど、ここまで楽しみにされると悪い気はしない。
私はその日から色んなレシピを探した。
何度か試作品を作っては家族に食べさせて、一番評価が高かったレシピで東峰へのチョコレートを作った。
「・・・よしっ!」
ラッピングもうまくいったし、後は明日渡すだけ。
目の前にあるチョコレートをじっと見つめながら、東峰の顔を思い浮かべる。
どんな顔するかな?
もらえるって分かっているけど、驚くのかな?照れるのかな?笑うのかな?
いろんな東峰の表情を思い浮かべながら私は眠りについた。