第7章 【照島 遊児】お前がいないと楽しくない
「なぁ。風邪治ったら映画観に行こう。ひろかが好きなやつ」
「うん」
「あと、学校で昼飯も一緒に食おう?」
「うん」
「それから、部活終わるまで待ってて。一緒に帰ろう?手繋いで帰ろう?」
「うん」
「あとさ…」
「…なに?」
「…………キスしたい」
ゆっくりと目を開けるとひろかがクスっと笑っていた。
「昨日お兄ちゃんに邪魔されちゃったもんね」
「あれは焦った…」
あはは。と笑って、同時に黙った。
俺はひろかの後頭部に手を回して、ゆっくりと引き寄せた。
ゲホゲホ
咄嗟にひろかから顔をそらして咳をした。
「ダメだ。移しちゃう。…風邪治ったらに…す…」
俺がひろかを解放すると同時に俺の頬はひろかの手に包まれて、唇と唇が触れた。
「また邪魔されたら困るから、今しておく」
そう言ってひろかは笑った。
「ほら、早く治さないと映画も学校もいけないぞ?」
早く寝なさい。と子供を寝かしつけるようにひろかは布団をかけなおした。
目が覚めたらもう一度ひろかに伝えよう。
ひろかが好きだと。
TheEnd
「ストロベリー」「ハグ」「熱」