第8章 Birthday Night ※

凛の形の良い唇がその左の先端を食んだ。
口腔内でそれを転がすと、甘美な快感が汐の身体の奥に流れる。

「んん…っ」
くぐもった声を上げると、思わず腰がうねる。

「汐のここ、硬くなってる」
乳首から口を離すと、凛は意地悪く笑った。
ここ、と言いながら先端を指で捏ねる。汐の瞳をまっすぐ見つめながら反応を楽しむ。

「あ…っ、はぁ…っ…ぁん…っ」
捏ねる、弾く、軽く押しつぶす、不規則に繰り返される指の動きにピクピクと身体が反応してしまう。
ぴん、と尖った先端が再び舌で転がされると腰が浮いた。

「あっ…！りんくん…」
「可愛い」
凛の愛おしげな眼差しに、泣きそうな思いを覚える。
囁くように可愛いと言われれば、それだけで感じてしまう。
優しく触れられるだけで全身が熱を持ったように火照る。

「キスして…っ」
切羽詰まったように懇願すると、凛の唇が重ねられる。
凛の厚い胸板に自分の胸が押しつぶされる。
敏感になった先端が凛の肌に触れて擦れる度に小さな喘ぎ声が出てしまう。
重なる肌のぬくもりがなまめかしい。
指を絡めて繋いだ手が縫い付けられる。
重なる唇の角度を変える度に微かにベッドが軋む。

甘く激しいキスの嵐。食べられてしまいそう。
凛は、好きという感情に支配されるとキスをやめてくれない。
そんな凛が愛しくて可愛くて、汐も夢中になって舌を絡める。

凛に身も心もすべて喰らい尽くされたい。

キスだけで、自分でも驚く程感じている。凛の下で無意識に腰が動く。
まだそこには触れられていないのに、そこはもうとろとろした蜜が溢れ始めている。

唇が離れると、凛の手が下肢へ伸びる。
内腿を撫でる手がショーツの中へと伸びると、指が蜜口に触れた。

「ぁん…っ！」
指の動きに合わせて蜜が混ぜられ淫らな音を立てる。
十分すぎるくらい濡れていることを確認すると、凛は服もろともショーツを引き下ろした。
そしてそれを床に放ると、くちづけを交わし再び蜜口をゆっくりと愛撫する。
蜜壷の中にも、ヒクヒクと震える花芯にも触れずに凛は蜜口に沿って指をゆっくりと上下に動かす。

「あ…っあぁっ…、ぁ…」
一番触れて欲しい場所には触れてもらえない。
それが焦らしと気づくには思考が蕩けすぎている。
凛が指を動かす度に蜜がとめどなく溢れる。
それでも触れてもらえない。