第4章 硝子瓶の金平糖 vol.1
【大きな子どものはなし】
10月某日、午前に部活が終了して凛は汐の家に遊びに来ていた。
お互い部活で疲れたようで、ゆっくり会話を楽しみながらスキンシップをとっていた。
「りんくーん」
胡坐をかいた凛の脚の間に乗っていた汐はおもむろに凛に抱きついた。
凛の肩口に頭を預けると満足そうに頬を緩める。
「もっと思いっきりきてもいいぞ」
「えっ」
そんな汐に凛は耳元で言った。
汐の顔を覗きこむと、きょとんとした顔で凛を見つめている。
視線を交わすと汐は頬を緩めた。
「凛くんあったかいー」
ゆっくりと汐は凛の背中にまわす腕に力を込めた。凛は腕を汐の腰にまわした。
さっきよりより密着する。
汐は凛のにおいを感じた。それと同じように凛は汐のにおいを感じた。
居心地がいい。安心する。
「汐お前、でかい子どもみてぇだな」
素直に甘えてくる汐が可愛くて凛は満足そうに頬を緩めた。