第4章 硝子瓶の金平糖 vol.1
【不意打ちのはなし】
「それでねー」
あたしが話すと彼は楽しそうに頬を緩める。
彼―…凛くんの笑顔が好き。その顔が可愛くて大好きであたしはまた声を弾ませちゃうの。
「汐、喉渇かねぇか?」
「そうだねー。喉渇いた」
なんか飲み物買ってくる、そう言ってあたしの隣のブランコに乗ってた凛くんがブランコから飛び降りた。
公園の入口の近くにある自動販売機の方へ歩いていく凛くん。
〝鮫柄学園〟って書いてある広い背中。部活が終わってそのまま来てくれたみたい。
「りーんくんっ!」
「ぉわっ!?」
あたしも同じようにブランコから飛び降りて、その広い背中に抱きついた。
不意打ちだったみたいで凛くん少しバランスを崩しちゃった。
「あっ凛くんごめん、驚かせちゃって」
不意をついちゃったから、怒られると思って離れた。
振り向いた凛くんは案の定眉を寄せている。
あー、これは怒られるかも。
「なんで離れんだよ」
「え?」
予想外の返しであたしはつい間抜けな声を出してしまう。
逆にあたしが驚いてると、凛くんはあたしの腕を引いて隙間なく抱きしめた。
「やっぱちっせぇな。チビしお」
「だからーあたしは標準だってー」
凛サマが捕食してやる、なんてふざけて言うからあたしもつられて笑顔になる。
この人の隣で笑っていられて幸せだなあ。
凛くんだいすき。