第3章 お前がいない世界を体験してみた
「今思えば、そこそこ長い戦いじゃったのぅ」
小牟の一声に、みんなが頷いた。
まぁ、50人は超えてるパーティだ。
全員頷いたかは知らんがな。
「今まで数々の強敵を倒してきた……だが、後は沙夜達だけだ」
「あまり気を背負うでないぞ、零児。こんなに仲間がおるんじゃ。みんなで渡れば怖くないというじゃろ」
「確かに、そのような表現は存在しますが、この現状では、『渡る』という表現は適切ではないと思われます」
「KOS-MOS!いちいちそんな事気にしなくていいから!」
KOS-MOSの(本人はそんな気はないが)絶妙なボケ突っ込みに、張り詰めていたみんなの気が和らいだ。
シオンは、プチ説教していたが。
「そういえば、景清にいちゃんたちは、この戦いが終わったらまた黄泉に戻っちゃうの?」
「そうだな。三途の川渡って、戻んなきゃだろうな」
「景清にいちゃんのお守りは大変だったけど、いざ帰っちゃうとなると寂しいなー」
背伸びをしながら、たろすけはそう呟いた。
景清も、アーマーキングやローズも、一度死んでいるから戻らなければならない。
まぁ、あたしは死んでねーが、ゆらぎの後処理終わったら、一度黄泉の国に行かなきゃなー。
あれ、何でだっけ?
まぁ、閻魔にでも呼び出されるからだろう。
多分。
とにかく、これで最後だ。
ゆらぎが起きなければ、出会う事もなかった繋がり。
今は、この時を大事にしたい、そう思った。