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お腹が鳴るころに(黒子紫原同級生夢)R15

第1章 東京から来た男の子


「お前がだな」
 目の前に長身の黒髪ロングの美人がたっている。
 陽泉男子バスケットボール部監督、荒木雅子である。
(うっわ……やっぱ迫力のある美人だ……)
「はい、そうです」
「ここに呼んだのは言うまでもない。お前にこいつの世話係を頼みたい」
 そう言ってお菓子を黙々と食べながらあたしのそばにいる紫原を指さす。
「いやです」
「ほぉ」
「男子でいいじゃないですか!」
「それもまあ、あるが……パートナーはなるべく異性がいいんだ、こいつの病気は」
「どうしてですか」
「暴走したときに、止めることができるのは愛情だそうだからな」
「あたしこいつに愛情なんて持てないですよ!?」
「……まあ暴走しないようにお菓子をタイミングよく与えれば、それでいいんだ」
「あたしじゃなくてもいいじゃないですか」
「わざわざ事情を知ってるものが既にいて、同じクラスの隣の席なのに、わざわざこいつの弱みを広げる必要もないだろう」
 ……それは、ごもっともだけど。
 紫原を見ると、あたしのほうをじっと見つめていた。
「こいつ本命の彼女ができれば、この病気は治るそうだ」
「あたしがこいつに彼女を作ってやればいいんですね!?」
「まあ、それもそうだが。お前に頼みがある」
「いやです」
 内容は予想できる。
「陽泉バスケ部のマネージャーをやってくれないか」
 ……やっぱりね!?
 こうなると思ったんだよね!?
 だって紫原のサポートでしょ!? 来ると思ったよ!!
「お断りします!!」
「ほぉ?」
 荒木先生の表情が曇る。
「……理事長は、学費をすべてタダにすると言っているが?」
「そんなに大事なんですか、この話!」
「そりゃあ、キセキの世代取得は大変だったからな。紫原を暴走させたり手放したくないんだ」
「~おねが~い」
 紫原が背後からのしかかる。
「ね?」
 さりげなく、がっちりホールドされてしまったあたしは、きっとうんと言うまで紫原から話してもらえないだろう。
「……わかりましたよ!」
 そう言えばいいんでしょう!?
 ああもう、あたしの高校生活が~!!
 不通に青春送るつもりが、関心もないバスケ部のマネージャーとか終わった……。
 放課後はマジパとプリクラって決めてたのに。
「ありがと~よろしくね~」
 そんなことも知らず無邪気に彼は笑った。
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