第3章 合宿へいこう!
合宿が終わって、あたしたちは陽泉高校へと帰った。
そのあとは、練習三昧の日々だった。
どんどん暑くなっていく気温の中で、汗に髪の毛が張り付く紫原を見た。
室内練習でも、やっぱり蒸し暑い。
日焼け止めのヘリが早い早い。
「暑くないの?」
「暑いし」
「ヘアバンドあげるよ」
ちょうど持っていたヘアバンドは、ピンク色のクマさん柄だけど、結構彼には似合っていた。
めんどくさそうにそれを受け取って、彼はそれを頭につける。
「ありがと」
「うん、これでだいぶ涼しそうになった。暑そうなんだよね、紫原の頭。切らないの?」
長い髪も似合っているけれど、短い髪も似合うんじゃないかな。基本的に顔が整っていて、きれいな頭の形をしているから。
紫原は首を横の降って、体育館の床にドカッと座った。
「美容院嫌いなの。しゃべりかけてくんじゃん。めんどくせーしうざいの」
「そうなんだ」
「そんなもんにお金かけるぐらいならお菓子かいて~じゃん」
「紫原らしいね」
思わずあたしは笑う。
笑われた紫原はむっとしたように膨れる。
「練習戻るし」
露骨にだるそうに腰を上げる紫原に、あたしはタオルを渡した。
「がんばってね」
「ん~」
きっとIHは勝つだろうけど(だって紫原がいるんだもん!)それでも敵高はきっとみんな強いだろうから、彼には頑張ってほしい。
その時のあたしは、キセキのすごさをいまいち理解していなかったのだった。