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お腹が鳴るころに(黒子紫原同級生夢)R15

第3章 合宿へいこう!


海辺で走り回る部員たち。叫ぶ荒木監督。
 そしてそれを眺めるあたし。
 ……あたしの存在意義は? と思いながらもドリンクをとりあえずは用意する。
 紫原のお菓子も、用意はしてある。
 あれだけ手足が長いくせに、走るときに紫原は先頭を好まないので、大体の先頭は福井先輩だ。本人いわくめんどくさいから後ろのほうでいい、らしい。
 らしいっちゃらしいけど……食べ物が景品だったら、紫原にかなう人は学校中にいないんだろうなー。体育祭、気になる。うちは早めの6月だっけ。生徒同士の交流がどうのこうのって理由で。もうすぐだ。
「おつかれみんなー」
「暑い、焼けるし~」
「男子は焼けてもいいでしょ」
 紫原の言葉に思わず笑う。
「ん~、でも皮剥けるの痛いじゃん?」
「まあ、それはね……」
「次は筋トレだぞ! ジムへ行く!」
「わあ、ジムだ~」
(室内ってだけでもうれしいもんだよね、この寒い海じゃ……)
「ただし狭いから、まずは3年生からな」
「え~」
「え~じゃない紫原っ。ほかの学年は自由時間なんだ。別にかまわないだろう」
「それはたしかに~」
 って言っても朝から特訓ばっかで、一瞬な気もするけど。
 まあ強豪校だし仕方がないか。
 紫原はあたしの近くにあったパラソルを陣取って、あたしが持ってきたお菓子を食べている。
「アイスある?」
「売ってはいるけど、溶けてくるから持ってない」
「え~……」
「今度ね」
「ん~……」
 ぷくっと膨れて甘えた声を出す紫原はかわいい。
 とりあえず、ひんやりするラムネを口の中に頬離婚で上げた。
「そこいちゃつくなアル」
「劉先輩もラムネいります?」
「いちおう部活中アル」
 そりゃそうなんだけど、自由時間だし。
 そうじゃなくても食べてるけど。
「おいしいよ~?」
「……1つもらうアル」
「はぁい」
 そう言って、あたしは劉先輩にもラムネを上げると、気が付いたらその場にいる部員全員にラムネを渡していた。

「オレだけだと思ってたのに」
「え?」
「がお菓子くれるのオレだけだと思ってたのに」
 なにこれやきもち?
 すねるようにそっぽを向く紫原。
「なんか、皆に配ってるの見たらもやもやした」
「……そっか」
「おーい、紫原! 1年の番だぞ!」
「はーい、荒木監督」
 これってさ、あたしにも少しは脈ありってことでいいのかな?
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