第3章 合宿へいこう!
「うわー……春の海は寒い」
「下宿先が海の近くってのは定番だけど……まあ、ジムも近くだからいいのか?」
「多分……」
以上、陽泉バスケ部男子たちのつぶやきである。
あたしはのんきにお菓子をかじる紫原の横につったっていた。
「オレ寒いのキラーい。ジム行こう」
「おい、自由行動じゃないぞまだ」
自由すぎる紫原に荒木監督が叱咤する。
「え~そうなの?」
「ちゃんと息抜きの時間はある」
「まさ子ちんが貞子の肝試しとか?」
「そんなものはないっ!」
「えー」
心底残念そうだね、紫原。
「絶対こえーのに。あ、そのまんまでも怖いか」
「……殴るぞ」
「暴力反対~」
こう話してる様子だけ見ると、告白した側とされた側には全く見えないのだけど、こういう自然さが、お互いの努力の結果なのだろう。
あたしは荷物を運ぶ部員たちの後をついで、自分の部屋にドリンクのケースなどを運ぼうとした。ら。
「オレ持つし~女の子でしょ? 」
「ありがとう、紫原」
意外と、女の子扱いなれてるんだな。
なんかそういうのうとそうだけど、お姉ちゃんでもいるのかな?
「彼氏ですから」
「……そうだね」
そう言って無言で二人あたしたちの部屋に向かう。
「まさ子ちんと同じなんだね」
「そう」
うらやましいのかな? やっぱ。
そう思うと嫌だなあ……。
「寝る姿とか盗撮しないからね?」
「いらね~し。もうけじめ自分の中で付けたし」
「……そう」
「これからは、 の彼氏になれるように頑張る。好きになる」
なろうとして、好きになれるものなのかなあ。
気持ちは嬉しいんだけど……なんか複雑。
二つのベッドがあるその部屋の片方に荷物を寄せる。
「はあ……」
「なぁにため息ついてるの? 」
「なんでもない」
両想いになれるのはいつなんだろうね?