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お腹が鳴るころに(黒子紫原同級生夢)R15

第2章 陽泉高校バスケ部マネージャー!


 インターハイに向けて、練習が始まった。
 紫原のレギュラーはすでに確定されたものらしい。
 それに対して、文句を言うものはいなかった。
 紫原本人を除いて。
「……まじでめんどくさいし」
「そんなこと言わない」
「おなか減った……」
「あーはいはい」
 ビスケットを紫原に渡しながら、あたしはスコアブックをいじる。練習試合はどれも、紫原が圧倒的な成果を出した。
 ゼロゲームも、珍しいものではない。
 紫原はずっとゴール下に立っているだけだというのに、それでも威圧感は半端なかった。
 2m越え3人もそろえば、なおに無敵だ。
 インターハイは夏。
 夏になったらアイスクリームでも持ち歩か仲いけないのかなあ、あたし。
 じゃないと紫原が暴走しそう。
 ていうか、開催地まで行かなきゃいけないんだよね。何気にめんどくさいのはあたしも同じかも。
「ってさあ」
「何?」
「好きな人いる?」
「はあ?」
 なんでそんな質問訊くわけ?
 わけわかんないんだけど。
 床に座り込んだ紫原は、黙々と口を動かしていく。
「いないけど?」
「じゃあ付き合ってよ」
「はあ?」
 何を言うとるんじゃ己は。
「建前でさ。ずっとくっついてても違和感ないように……だめ?」
「駄目っていうか、彼氏出来なくなるじゃん。それ」
「高校の間だけだよ~」
「青春送りたいんだけど」
「あらま。そうなの?」
「そうなの」
 意外そうな顔が、ちょっとむかつく。
「ん~でもさ、多分もう誤解は広まってるでしょ。付き合ってるって。だからさ、もうそういう事にしとこ~よ」
 それは、否定できないけど……。
「そもそもさ、こんなでかい男が近くにいる女誰がアタックするの?」
「……サイアク」
 確かに、よく考えたらその通りだ。 
 あたしが男なら、怖くて手なんて出せない。
「まさ子ちん喜ぶと思うよ」
「なんで荒木監督?」
「ん、オレまさ子ちん好きなの」
「はあ!? 初耳!」
「告白してふられたんだけどね」
 そりゃそうだろうね!
 生徒と先生だからね。
「だからきっと、安心すると思うんだ」
(……こいつが、荒木監督を好き……)
 この前の出来事がフラッシュバックする。
 何気にやばい状況だったんじゃ……。
「わかった。いいよ」
「本当に?」
 気が付けば、あたしはそう答えていた。
「ただし、条件があるの」
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