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お腹が鳴るころに(黒子紫原同級生夢)R15

第2章 陽泉高校バスケ部マネージャー!


 けれども、さすがに紫原は早かった。
 ロッカーにたどり着くころにはバシンという何かに何かが殴られる音がした。
「荒木監督!?」
「何してんだお前!」
「だってが~」
「……本気で何してんだ!」
 下着姿の荒木監督は、慌ててシャツを着ていく。
「あたしだったからよかったものの……」
「すみません」
「女子ロッカー室の鍵なんか渡すな」
「おなか減った……」
 ぎゅるるる。紫原のお腹が鳴る。
 次第に音が大きくなる。
「……菓子をやってくれ」
「あ、はい……ってあれ!?ないっ!?」
 ぎゅるぎゅるる。
「ストックが切れちゃってる!?」
 紫原はもうすでに座り込んでしまっている。
「ちょっと売店行ってきます」
「おい、こらまて! あたしにこの状態の紫原を見てろってか!?」
 荒木監督が叫ぶ。
「ほかの人だと大惨事になるんで」
「まあ、それはそうだが……」
「まさ子ちん……」
 紫原が荒木監督に歩み寄る。
「寄るなっ」
「おなか減った……助けて」
 うるんだ目で紫原が言うので、あたしはそのまま走り出した。
 一瞬きゅんとしたのはきっと気のせいだ!


 お財布を握りしめてあたしは走る、途中の自販機で甘いココアを落として、売店で適当なお菓子を選んで買った。
「戻りましたっ」
「っ」
 がばっっと紫原の体が覆いかぶさる。
 もうすこしで壁に頭を打つところだった。
 びっくりするぐらいの勢いであたしの持った袋を取っていき、ぐびぐびとココアを飲んでいく。
 ココアだけでも先に持ってくるべきだったかもしれない。
 荒木監督は、ぐったりした様子で竹刀を握りしめている。何があったかは、想像するまでもない。
「ん~……おいしいね~」
「……そう」
「ちんっまさ子ちんっありがとうっ」
「……死ぬかと思った」
 荒木監督がばてた声で言った。
「、今度からお菓子のストックは切らすなよ。金は学校が出すから」
「はいっ……すみませんでした」
「まあ、こいつを1人でサポートするのは大変だろうが、テスト勉強は安心しろ。こいつ頭いいから、お礼に教えるそうだ」
「うん~教える」
「まじで!?」
 こんなのが頭いいの!?見えない!
「楽しみにしておいてね~?」
 紫原はゆるく笑う。
 正直、全然期待できないんだけど!
 

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