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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第9章 神さまの目にも涙



『おぎゃあ!おぎゃあ!』
『可愛い女の子ですよ』

抱きあってむせび泣く男女
伸ばされる温かくて優しい手

その柔らかい胸に抱かれて
その逞しい手に頬を撫でられて

『ねえ、今、この子笑った』
『え?……ああ、本当だ』

幸せな眠りのなかに
すこしずつ落ちていく。



「ちょっと、あまり
寄らないでくださいよ。
お前の馬鹿が移ったら
どうするんだ馬鹿」

「お前が邪魔で愛しい
寝顔が見えないんだよ!
それにバカって言うほうが
バカなんですう~!!」

「ほらその発言が既に馬鹿だ」



私の両親にも
医師たちにも
見えなかった彼らが

分娩室のすみっこで
相変わらず喧嘩していたことは
私も、誰も、知らない。

過ぎ去りし日の
鬼と神獣の、思い出──


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