第14章 終幕
「ええええええ?!!」
小高い丘にある
ちいさな墓場に
男女の楽しげな悲鳴が
声高らかに響き渡った。
ここは、現世現代
日出ずる国の片隅の
片隅の、そのまた片隅。
「え、薺さんまで、
何驚いてるんですか」
「そっ……そりゃあ
驚きますよ!だって、私
そんな話聞いてな」
「では今言いました」
「……全く貴方って人は」
地獄の鬼はとある少女を
深く愛し、また、愛されている。
「ええ~お前だけずるいぞ!
そうだ紗英ちゃん僕らもけっ」
「おめでとう薺ちゃん。
……じゃあ、これは私からの
お礼とお祝いのプレゼント」
「ナチュラルに無視!!!」
天国の神獣もまた、
とある少女を深く愛し
彼女に愛されている。
紗英の気を吹き込まれた薺は、
みるみる内に十六歳の
見目へと戻っていった。
「薺」
「はい、……鬼灯様」
「愛してる」
これは、
不思議な不思議な寝物語。
鬼と神獣と
貴女の──
愛のおはなし。
【おしまい】