第8章 【団栗ころころ】
下ごしらえは完璧だった。
生前、と言っても亡者だけど
それでも確かにこの世に
存在した紗英を取り戻す。
その、器は──
鬼灯。お前は全く
いい部下を持ったね。
「上出来だ……っはは」
白いくるくるパーマに
三本角の人懐こい小鬼。
彼に描かせたのは紗英の絵
まるで生きているかのような
それに、僕は満足気に
唇で弧を描いていく。
あとは僕の神気で満たした
彼女、薺ちゃんの身体を
そう──器にするんだ。
「ん、ぁ……っ白澤、様」
「なあに、紗英……」
「もっ、と……して……?」
哎呀(あらら)これは困ったね。
ちょっと薬盛りすぎちゃったかな。
「ああ、いいよ……僕しか
求められないようにしてあげる」