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(R18) 雑草ノ花 (弐) ─鬼灯の冷徹─

第8章 【団栗ころころ】



落とすキスが
零れてしまわないように
僕は君の頬を包みこんだ。

「……さっきは痛くしてごめんね」

ちょっと赤くなってしまった
チークの部分に唇を寄せると、

なんだかしょっぱい味がする。

いやだなあ。
そんな風に泣かないでよ。

「僕、女の子泣かせるのは
趣味じゃないんだよなあ」

どうして? なぜ君が泣くの。

泣きたいのは僕の方だよ。
だってそうだろ──

君は、もうこの世にいないんだ。

鏡ノ塔に映り込む紗英は、
薺ちゃんの身体を借りなければ
話すことも、触れることも

何もできない。してやれない。

思念っていうのは悲しいね。
こんなにも僕らは愛し合って
お互いを、求めているのに。

「ねえ……泣かないで。
僕を見てよ、ほら、見て?
僕、こんなにも君が欲しいんだ」
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