第8章 【団栗ころころ】
あくまで笑みを絶やさず
辛辣なことを言った僕に、
君は心底驚いてるようだった。
そりゃそうだ。
だって、僕自身が一番
ビックリしてるんだから。
「あのさ……知ってる?」
だから嫌だったんだ。
こんな刺々しい気持ちに
なるなんて知っていたら──
恋なんて
愛なんて
そんな不確かで恐ろしいもの
僕は知りたくなかったよ。
でも、もう手遅れ。
「僕ってね、実は神様なんだ」
きっと妖怪か何かだと
思っていたんだろう。
まあそれも広義では
間違いじゃないけどさ。
再度驚きに目を丸くした君は
「え」とも「へ」ともつかぬ
ちょっとまぬけな声を出した。
「神さま、ですか……すごい」
「ふふ。そうでしょ?」
傍目には和やかにティータイムを
過ごす男女だろうけど、実際は
さて、どちらの方が
心中穏やかじゃないかな。